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CAD作ろ! 線の属性
線の属性には、「ペン」の章で既に述べたように、色、スタイル(線種)、幅(線幅;線の太さ)、及び、レイヤ(AutoCADでは「画層」と呼ぶ)があります。
(その他、CADによっては、線端(開始点・終了点の矢印や黒丸等の有無)、その他、あるかもしれませんがここでは除外します。)
色は、背景色を含めて、8色、16色、256色、65536色(16bit色;High Color)、1677万色(24bit色;True Color;フルカラー)があり得ます。どれに対応するか、ですが、例えばペンプロッタを使いたい場合には、ペンと1:1対応するため、8色にする、という事が以前行われてきましたが、現在はさほど考慮せずとも良いかもしれません。インクジェットプリンタ等は、フルカラーで指示出来ます。また、画面表示も、MS-DOSでの最低色数が8色、Windows3.1での最低色数が16色、Windows95での最低色数が256色、通常のWindows使用であれば、フルカラーで使うのが一般的です。仮に、256色や65536色のモードでも、Windowsが自動的にディザリング処理を行ってくれますので、画面がかなりおかしくなる、という事はありません。
また、データ互換という所から見ると、DXFでよく利用されるのは、8色、又は、256色でしょう。それに合わせるのも良いですし、DXF出力の際に減色処理を行うというのも良いでしょう。
データ量(ファイルのバイト数)は、8〜256色=1バイト、65536色=2バイト、1677万色=4バイト必要になってきますが、現在は以前程、バイト数を節約しなければならない、という至上命題は無いと思われます。本体メモリも大きくなり、MOディスク、CD-R/RWディスク、DVDディスク等の大容量メディアが登場しています。節約するに越した事は無いですが。
 
次に、線種ですが、一般的には、実線、点線、長い破線、短い破線、一点鎖線、二点鎖線、は使いたい所です。しかし、WindowsのGDIが提供している線種はかなり少ないと思えます。更に、Delphiでは、2ドット以上の線幅にすると、線種が実線になってしまう、という欠点があります。つまり、太い破線などは使えません。また、線種ピッチも固定です。ですので、独自に線種を表現する必要性が出てくる事でしょう。
 
そして、線幅ですが、Windowsでは、ドット数で指定します。前述の通り、Delphiでは、2ドット以上は実線となってしまいます。CADではドット値ではなく、mm値で表現する事が絶対条件となります。ですので、mm値で入力を行い、画面表示の際に、mm-dot変換を行うようにします。しかし、プリンタの解像度によって線幅がどこまで指定出来るのかが決まってくるので、注意が必要です。
 
最後になりましたが、レイヤですが、これは物理的なデバイス云々の話ではなく、データ構造やデータ表現をどのようにするか等の論理的なものですので、いろいろなパターンが考えられます。
レイヤとは、アニメのセル画のように、複数の透明な紙を想定して、それぞれに絵を描き、それを重ねて上から見るようなイメージです。
 
例えば、レイヤ1とレイヤ3だけを表示させたり、レイヤ2だけを編集したいので他のレイヤを非表示にしたり、等の図面編集をやりやすくし、表示するという事は図形を作図する時間が掛かるという事ですから、作業時、不要な部分は非表示にする事によって作図時間を速くする、という効果もあります。
利用出来るレイヤの数は、16、256、1024、等、あるかもしれませんが、AutoCADのように、自分で設定する事によって無限に作る事もできます。しかし国内産CADでは、最大256個まで、というものも多いです。
レイヤは、以前はレイヤ番号だけで管理していましたが、現在は、レイヤ名を指定したり、縮尺を指定したり、いろいろとあるようです。
 
さて、決める前に、Delphiで線を描くときに属性を指定させる事を再確認しておきましょう。簡単なサンプルを乗せておきます。
サンプルプログラムのソース
 
Delphiで線を描く、というボタンと、WindowsAPIで線を描く、というボタンがあり、どちらも線を描くだけのものですが、Delphiの方が遙かに簡単で、WindowsAPIの方は見た目的にもかなりややこしく感じるでしょうが、Delphiよりも細かい指定が出来るようになっています。例えばこのサンプルでは、通常の CreatePenではなく、拡張版の ExtCreatePen を使っています。これにより、太さのある線種や、線端が丸くなく平らな線、を描かせる事が出来ますが、実はこれが有効になるのは、WindowsNT系(NT3.51/4.0/2000/Xp)のみであり、Windows9x系(95/98/Me)では全く無効化されてしまいます。一応サンプルとして書いていますが、互換性の問題がありますので、今後はこの WindowsAPI方式は使用しません。が、興味のある方は、いろいろ調べてチャレンジしてみるのもいいかと思います。
 
 
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