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小説 〜2003
 
光文社 カッパ・ノベルス「薬師寺涼子の怪奇事件簿 黒蜘蛛島」(田中 芳樹)
主人公は、警視庁・刑事部参事官室のノンキャリア泉田準一郎、ヒロイン・警視庁刑事部参事官・薬師寺涼子の部下であり、自称・お傅り役である。彼女の行く先々でオカルトな事件が巻き起こり、その全てをほとんど素手で叩きつぶすという人間離れしたキャラ。泉田は普通の模範的でハンサムな公務員。
カナダで2人の日本人が死んだ、その協力調査のため、というよりは、警察庁お偉方が束の間の平穏を求める為に彼女を日本から追い出した感じがするが、そういう訳で、彼女と彼女の忠実なシモベである主人公は、カナダへと向かう。で、B級、C級、D級、な映画の話なんかはどうでもいいとして、まぁ、いつもの妖怪退治的アクションが繰り広げられる。
まぁ、いつものアニメ的ノリはいいとして、まぁ、読みやすいし、それなりに面白く?はあるんだけど、戦いも何だか淡泊だし、主人公はピンチにさえ陥る事は有り得ないし、余りオカルト的臨場感もなく、まぁ、言う程にはさして面白い作品では、なくなってしまった。パターン化してしまったっていうか、優勝して当たり前の強い巨人が、あっさりと優勝して終わり、みたいな感じ。田中芳樹ファンならばそれでもいいんだろうが、基本的に、私は田中芳樹オンリーでわないので、それだけでは全然物足りないって感じ。涼子と泉田のラブラブな展開にはならないし(ってゆーか、涼子のキャラがそういうキャラじゃないので、現状の、つまみ食いしちゃおうかな?状態?しかなり得ない)、室町由紀子との三角関係にもならない。由紀子は自分に入り込む余地がない的に思ってしまっているので。更に、由紀子の部下のヲタク男・岸本ってキャラは、単に、足を引っ張らせてバランスを取るだけの為のアイテムにしか過ぎない。このまま続けるのなら、そろそろ主人公とヒロインをくっつけて旅立たせてエンディングに持っていった方がいい。
 
なお、著者・田中芳樹氏の公式サイトは、
  http://www.wrightstaff.co.jp/
との事だそうだ。
 
ファミ通文庫「クラウド@ 雲海の逃亡者」(吉岡 平著)
コロセウムでマシウス・グラッススは相手をあっさり倒し、壇上の筆頭議員セディアス・マクシミリアヌスを凝視しつつ見上げていた、って所から始まる。中世風?化け物じみた動物?ファンタジー色があってなかなか楽しい。やはりこの作者はファンタジー系の方が面白いと思う。と思っていたら、○○○の外伝?(^^;) ただ、中盤からノリ先行型になったのと、ちょっと都合良すぎってのが多くなったのが気になったけど。挿絵はイマイチ。
 
朝日ソノラマ「コスプレ温泉」(吉岡 平著)
銀行OLだった主人公・乾岬(23)は突然のリストラによる解雇にショックを受けて、ロー・テンションで「VS騎士ラムネ&40炎」の主題歌「未来形アイドル」を口ずさみながらとぼとぼ歩いている。そんな感じでスタートする当たり、まぁタイトルからして、またオタクな話か、と分かっちゃいるが、やっぱしか、という感じ。まぁ、この歌は当然知ってるしカラオケで歌った事もあるから人の事は言えないが、この歌をハイテンションで歌い続けるのはそれなりに結構しんどい。で、一緒に解雇された後輩の眼鏡っ娘・竹川頼子に引き込まれてコスプレを始める事になる。で、名前の知らないキャラのコスプレを書かれていても全然訳が分からない。物語の前半はコスプレネタが続き、後半は、岬の親が経営する温泉旅館が倒れるって事で頼子と共に実家に戻り、その再建策として「コスプレ温泉旅館」にしてって事になる。何だかよく分からないが、オタク的ノリだけで進行する物語。まぁ、単なるノリだから、面白い・面白くない、という以前の問題で、まぁ、暇潰し程度にしかならないので、買って読む際には御注意を。
 
集英社「KLANZ 暗闘編」(白川 晶:著)
また著者が変わった。一体、どういうつもり? 著者によって文体は違うのは当たり前だし、キャラの扱い方も違えば、構成も違う。それを敢えてなるべく共通化しようとし、ある程度はそれに成功しているのかもしれないが、著者の文章を殺しているような気がする。それとも、新人教育か?どっちにしろ、良いと思わない。この辺、一体、どう考えているのか、出版社側の意見を聞きたい。
今回はどうも、会話が多い。ライトノベルはこんなもんかもしれないが、キャラ依存性が高すぎる。章の最初にある、いのまたむつみさんの絵でほっとさせられる。自分自身、気づいていなかったが、振り返ってみると、この文章を身体が受け付ける事が出来なかったかを思い知る。内容はアニメ的には違いないが、風景を想像出来ないのである。建物の中、商店街の中、山の中、そんだけ。余りに想像を楽しむシーンが無い。ひどい。ノリもよくない。文章も淡々としている。読んでいても全然面白く無いのだ。まぁ、構成上、戦いもない、何の展開もない、つなぎのような巻だったので余計にそう思うんだろうが、しかし、あまりにも、という感じ。
 
集英社「焚火の終わり」(上)(下)(宮本 輝:著)
10歳の町田茂樹が父親に連れられて、島根県のとある岬の近くにある家に行き、まだ3歳になったばかりの少女・須川美花と出会い、茂樹が15歳のとき、美花が自分の妹だと父に教えられた。しかし、誰にもその事を言うな、といわれる。たまに岬の家で会っていた茂樹と美花は、焚火をするのが好きだった。美花は高校を卒業し、京都の呉服屋に就職し、その呉服商が新規に始めた独自の着物を製作する会社に運営役として働き、その会社も利益を上げられるようになってきた。茂樹は32歳の時に妻に先立たれ翌年に母を亡くす。そして、茂樹は営業本部長からフランクフルト出向を伝えられる。今度は、美花の祖母が心筋梗塞で倒れ、病院で死んだ。で、たまに会って話をする異母兄妹のお話がスタートする。
2人は本当に兄妹なのか?彼らの親は誰なのか?いろいろな人、いろいろな関係が絡み合い、ミステリー風な感じもあるが、現実離れしたかと思うと現実を知る、というか、なかなかに読み手側を楽しませてくれる。
 
徳間デュアル文庫「自転地球儀世界V 異世界からの来訪者」(一条理季著、原案:田中 芳樹)
ほったらかしで続きが出ない、読者は続きを楽しみに待っている、という訳で、続きを他の人が書く、という状況が多くなっているが、この作品もそうなった。
地球儀世界に入り込んでしまった白川周一郎と姪の多夢。なんだか、「夏の魔術」のコーヘイ&ライムを想像してしまうが、なんかもろに、同じパターンのような気がする。2人はこの中世的世界の中で、日本語も通じずどうなることかと思われたが、前例があったためか、フェラリーラ様とその従者、って事にされてしまう。なんか御都合主義的な感じも受けてしまったが、まぁ、周一郎のキャラが何か少し雑な感じもする。多夢も13歳の設定の割には異様に幼すぎる気もする。あと、会話が多すぎる。次巻に期待したい。
なお、著者の一条理季氏のホームページは、
http://homepage3.nifty.com/r1/
との事だそうだ。
 
新潮社「血脈の火 流転の海 第三部」(宮本 輝:著)
大阪に戻ってきた松坂熊吾と妻・房子に一子・伸仁。熊吾は、強力な接着剤を消防車のホースの修繕に利用する商売を始め、それが強力な台風による大損害をもたらしたあとも、プロパンガスの販売を始め、自宅では中華料理屋に雀荘を始め、と、いろいろありつつも、精力的に次の仕事、次の商売を、と進んでいく。その間にも、身体の弱かった伸仁はそれなりにしぶとく育っていく。まるで場末で生きるヤンチャなクソガキ風に。しかし、いつもフラフラとして何を考えているのか分からない伸仁も物語の中心になっていく。このお話は全5部だそうです。
 
新潮社「地の星 流転の海 第二部」(宮本 輝:著)
松坂熊吾は妻子の健康のために生まれ故郷の愛媛県南宇和郡一本松村に戻る。田舎の平和な暮らしが続くと思われたが、ヤクザにつけ狙われる。そのヤクザは増田の伊佐男といい、子供の頃、熊吾に足を怪我させられそれ以来、足を引きずってしまう事になった、という。熊吾と伊佐男の戦い(武力衝突という風ではないが)、親類間のさまざま、熊吾の己というモノへの追求、妻というモノ、そしてかけがえのない息子との関係、そして、仕事。休憩・充電期間としてわずかな間であり、結構いろいろドタバタしつつも、やはり、復興しつつある大阪に戻ろうと決意する。
 
新潮社「流転の海」(宮本 輝:著)
戦後。故郷に疎開していた松坂熊吾は大阪に戻ってきて、戦前まで事務所兼倉庫として御堂筋の東側にある松坂ビル跡地に向かったが、数十軒のバラックが無断で張られていた。そこに松坂ビルを再建して事業を再開しようとする。かつての部下、知り合い、新しい仲間との出会い、知己の裏切り、等々。4人目の妻との間に、50にして初めての子供が出来る。生まれつき身体の弱い子供が20歳になるまでは絶対に死ねない。仕事人である熊吾が家族のため我が子のために暗黒の時代をしぶとく生きようとする姿が描かれる。
 
新潮社「私たちが好きだったこと」(宮本 輝:著)
大人の恋愛物語って感じ。純朴な喜怒哀楽がこめられている。主人公は"私"・北尾与志。76倍の公団住宅の抽選に冷やかしで応募したら当たり、1人暮らしだった彼は母親と暮らすって事でごまかし、1人で3DKは広いって事で、友人の"ロバちゃん"・佐竹専一と一緒に暮らす事にする。その話を詳しくしようという事で行ったバーで、2人の女性・曜子と愛子に偶然出会い、多少ドタバタ的に4人で暮らす事になる。で、その物語に引き込まれて行く訳だが、まず、最近ありがちな「そんな事は有り得ないだろー」的な無茶な所はない。と思う。また、今時の子供の恋愛じゃあるまいし、って物語でもない。勿論、エロな話でも無ければ(多少エッチなシーンは当然あるが)風俗的な話でも無い。何が魅力的なのかというと、やはり、物語に入っていきやすく、入ってしまったあとは物語を楽しめて、読後感が良い。キャラも魅力的であったり、つい、にやっと笑ってしまう(決して、ゲラゲラ笑えるとか、吉本的であるとか、という意味ではない)。で、優しい。何が優しいのかは一言で言えない。本を読んで感じてもらいたい。平成7年の作品。この作品は映画にもなったそうな。
 
新潮社「生きものたちの部屋」(宮本 輝:著)
エッセイ。作品作りの悩み、きっかけ、構築、などについて書かれている。夏の猛暑の中、西瓜売りのオッチャンに西瓜を試食させられ、800円のを500円にまけてもらって買ったって事から短編「西瓜トラック」を書いた、とか、絵の具が好きだって話とか、直接の道具である、万年筆&インクとの出会いと相性の話、愛犬の話、等々、結構笑わせてくれるんだが、最後は、阪神大震災の話になると、どうも、実感がありすぎて、あんときは凄かったよなぁ、とか、TV映像、実際に見た破壊の跡、俺も事務所に寝ていたら圧死していたかもしれんなー(前の日は事務所に泊まってた)という想像、というよりは確信に近いものとオーバーラップし、何とも言えない気持ちになる。そう、話と同化し、話について想う事が出来る、考える事が出来る、感情の発露が生まれる、そういうのが宮本氏の作品の魅力にもなってる。
 
講談社「避暑地の猫」(宮本 輝:著)
忙しい中、ようやく取れた休暇を軽井沢の借家で家族とすごそうとしていた医者・鍋野は、急患で呼び戻される。その手術が終わった後、自分の患者を見回っていた彼は四ヶ月程前に緊急手術をし入院していた無口な患者・久保修平から珍しくも話掛けられる。鍋野医者は患者・久保の長くなる話を聞き続ける。そんな感じでスタートするこのストーリーは、ちょいドロっとしたサスペンスもののような感じがする。猫といっても、三毛猫ホームズでわないので予め断っておく。17歳の少年が殺人に至る過程などが語られる訳だが、なかなかに生々しく伝わってくる。この本は1988年初版だが、昨今の少年犯罪クローズアップ化もあって、結構考えさせられる。
 
講談社「命の器」(宮本 輝:著)
随筆=エッセイ集。1980〜1983年の作品集(初版は1986年)の作品。前半は、著者自身の体験記という感じで、小説家になるに至ったいろいろな話が書かれている。1話1話は、別々に書かれているものなのでかぶったりしているし、他の本でも読んだ記憶があったりするが、著者の正直な「言葉」が述べられている感じ。後半は、実際の作品と絡んだ話などが述べられているので、それらを先に読んでおくといいんじゃないかなと思う。
 
講談社「二十歳の火影」(宮本 輝:著)
随筆=エッセイ集。1980年(この本の初版は1983年)の作品。しかし、随筆と書くと何やら堅い感じがするが、素朴に楽しめる体験記、というか、多少日記風でもあり、ほのぼのと楽しめる。氏のそれまでに書かれた作品の裏話的な内容も多く、氏の小説をある程度読んでおく方がより楽しめる。
あとがきで田辺聖子さんのコメントに<魂の疼き>とあるが、私はそれ程の人生経験がないので<魂>とまでは行かないが、心に触ってくる優しい感じがする、という感触はある。だから氏の小説は読み続けているというのは、実際、ある。いや、別に、ボスの先輩だからという訳では決して、無い。
 
朝日ソノラマ「二等空士物語」(吉岡 平著)
小さい島にあるレーダーサイトに勤務する航空自衛隊・隊員達のお話で、島民と自衛隊員とのいろいろがあって、朝鮮民主主義人民共和国の最新鋭・潜水艦がやってきて、で、ちょっとした戦争が開始される。キャラの名前は、手塚漫画をパロっていたりするのは、まぁ、いつもの事なんだけど、オタッキーな話があるのもいつもの事なのでいいんだけど、しかし、戦いの結末がなぁー、うーむ、納得いかん。
 
講談社「創竜伝13 <噴火列島>」(田中 芳樹著)
12巻を読んだのは一体いつの事だったか。既に忘却の彼方である。でもまぁ創竜伝は、ノリがアニメ的だし1話完結的でもあるのでさほど気にはならないが。牛種との戦い?忘れたなぁ。この巻の主人公は、とても普通の人間とは思えない怪物キャラ・小早川奈津子。富士山が噴火し、日本は大混乱。東京も首都機能を喪失。竜堂兄弟は京都に落ち着こうとする所に、我らが正義の使者・小早川奈津子が合流し「幕府」を開くことになる。我らがヒロイン・小早川奈津子は、征夷大将軍兼摂政兼関白兼太政大臣の役につき、ドラゴン・チームとともに、日本の夜明けを迎えよう、という事になる。
というほとんどギャグ、にもならない、たわいもないストーリー。勿論、イラク戦争ネタ、日本政府ネタ、等がありつつも、我らが聖戦士・小早川奈津子の台詞「市中引きまわしの上、磔刑獄門に」っていうのがなかなかタイムリーで笑えた。
 
集英社「KLANY 策謀編」(浅野智哉:著)
やっぱり、著者よりも、有名な原案者を優先する会社の体制は、どうも変わる様子は皆無のようだ。会社というのは売上を優先するものだが、しかし!って感じで、小説はやはり、文章で勝負してもらいたい。前巻よりもノリが良くなった感じがする。更に著者は阪神ファンだそうだから、親近感は増した。(笑)
今回も新キャラ登場。香港の天才少女・李麗汎は、虎覇電征(タイガー・ネット)の社長でインターネットカジノを運営している。そう、彼女は虎の血族なのだった。虎ノ介達は、戦力不足がどうしても否めないため、同じ血族である彼女に接触をする。
あとは、麗汎が虎ノ介を気に入って、ルネとの三角関係に発展かぁ!? ってのと、リンフォード伯爵さまっとの戦い。
伯爵さまっとの戦いは!? 麗汎は一発キャラなのか? 果たして、虎ノ介とルネとの小学生以下の恋愛関係はちょっとは発展するのか? 次巻を待て!
 
中央公論新社「聖刻群龍伝 亢龍の刻3」(千葉 暁:著)
デュマシオンの最も信頼していたローエンが離反し、コラムの元へ。ついにテュマシオンの精神は崩壊。コラムは兄・デュマシオンの居城へ進軍開始、追い詰められるデュマシオンとその仲間達。もう最後か!?
一方、サクヤーは帝国脱出を試みる。ソーキルドは親友サイオンと対立する事を選び、サクヤーを脱出させる手助けをする事になるが、サイオンは最初から既にお見通し。サクヤーの政略的価値は既に無くなっている為、帝国脱出する事に成功するが、ソーキルドはますます立場を悪くしてしまう。
そして、デュマシオンVSコラムの決着がつく。
果たしてデュマシオンはサクヤーと再会することが出来るのか?
「亢龍の刻」はこの巻で終了、「風雲の章」は完結。次巻からは「龍攘の刻」がスタート。楽しみです。
 
朝日ソノラマ「エリアルR」(笹本祐一:著)
前回・前々回・前々前回と同じく、帝国第3艦隊オープン・フリートの話の続き。オープン・フリートはようやく終了、岸田博士らの乗ったスペースシャトル・エンデバーとエリアル3人の乗組員、そして、宇宙を飛ぶワーゲンのナミ・由貴・エミはそれぞれ地球に帰還する。が、宇宙人とのコンタクト&その成果を我が手にしようと米国はいろいろと仕掛けてくる、のを岸田はかわしつつ、、、
今回はいつものウンチク無し、セイバー様も無し、戦闘も無し、由貴のイケイケも無し、なんか静かに終わって行くって感じがした。いや、まだ最終回じゃないよ。(笑)
 
ファミ通文庫「無責任提督タイラー」C帰還編(吉岡 平:著)
最終巻。タイラーvsワング、アザリンを奪取し生還、終戦。これで長かったシリーズも終了だそうな。15年か。その間、アニメ化等もあったりして、一世風靡した感はあるが、まぁ、このファミ通文庫版のこのリライト版で著者ももう思い残す事は無かろう。次の新しい作品に期待したい。
 
電撃文庫「スターシップ・オペレーターズC」(水野良:著)
久し振りって感じ。(^^;) 「ロードス島戦記」の水野良氏の放つSFなライトノベル。自由護衛艦アマテラスはシュウ星系第4惑星付近で敵艦と交戦、1艦を撃破、1艦を振り切り、残り2艦、重巡コンキスタドールと高機動突撃艦リサ−コードネーム「ドラゴンフライ」(アマテラスは敵艦の名前を知らないので自分達でコードネームを付けてアイコンイラスト化して識別している)−に追われていた。ドラゴンフライは無人の突撃艇を敵の近接領域にショートワープさせ、10秒間の近距離攻撃を仕掛け、ワープアウトする。「宇宙戦艦ヤマト」にもそういう攻撃をする敵がいたのでアレを思い浮かべてもらえるといいかも。(笑) アマテラスは万能艦であるが故に、防御力も近距離攻撃力もさほど無い。ジワジワといたぶられた挙げ句に沈められる訳だ。ワープポイントが分かる訳もなく、敵を撃破する手法はほとんど皆無。ワープで逃げるにしても、近くに恒星があるため、その重力場による影響でミスワープする危険性もある。さぁどうする!?
 
講談社文芸文庫「死霊V」(埴谷 雄高:著)
七章 ≪最後の審判≫
八章 ≪月光のなかで≫
九章 ≪虚体≫論−大宇宙の夢
七章では、"黙狂"矢場徹吾が首猛夫に、暗闇の中に、「何ものに向かっても決していってはならぬこと」=「考えてはならぬこと」=「最後の言葉」=「最後の審判」について語り出す。最初は、食われたモノが食ったモノを弾劾する所から始まり、それを否定するモノが現れ、ついに「無出現の思索者」が登場する。零と無限大を携えながらも、黙りに黙り続ける。それについて考えに考え続ける無限ループに落ち込んでしまっているのが矢場徹吾という1人の患者だった。
八章は、印刷工場を出た黒川建吉と津田安寿子が蒼白い月光のもとで話をする。∞にとらわれている三輪ら兄弟について。安寿子は婚約者である三輪与志の事について知りたいがために、黒川にも聞いている訳だが、三輪与志が"∞の宇宙からのはじめての創出"となりえる「虚体」を目指している事を聞く。最初は理解出来なかったが、話をするうちに、ぼんやりとだが理解し始める。
九章は、津田安寿子が誕生パーティに、三輪に関わる人達を招いて話をする。「ある」「ない」「虚体」「虚在」その場に、"黒服"、"青服"な「宇宙者」が登場、宇宙について語る。宇宙者が作り上げた花火宇宙を消滅させ、はじめて創出するのは、果たして本当に、「虚体」なのか?
物語はそこで終了する。一回読んだだけでは、何やよう分からない。著者は最初に「虚体」というものを設定した。虚数とは、二乗したら-1になる数の事だ。√-1。虚数i。宇宙の始まりは虚数宇宙ではないか?という視点か?しかしその結論は不明だ。そりゃそうだろう、誰にも分からないんだ。ビッグバンが起きて、宇宙が膨張する。やがて収縮に向かい、宇宙は消滅する。これって巨大な恒星の一生ってのに似てるけど、もしそうなら、恒星ってのは最初は、チリやガスの集まりだった訳で、それはより遙か昔の星等の残骸な訳で、最初の最初ではない。宇宙の始まりとは?何も無い所から何かが発生するには?...
 
講談社文芸文庫「死霊U」(埴谷 雄高:著)
四章 霧のなかで
五章 夢魔の世界
六章 ≪愁いの王≫
この本のメインはこの5章だと言われているそうで、最後の九章でも完結していないとも言われているそうだけど、始まりと終わり。はじまりのはじまり<盲目王国>、とは? おわりのおわり<絶対王国>、とは? 結論は出てないようだけど。通常の始まりと終わりは、連続しているのではなくて、必ず、何らかとオーバーラップしている。それはいい。意識体な話も、そういう話は他にも幾つもあるので、これもいい。つまり、「無」から「ビッグバン」が生じて「宇宙」が膨張し、それがやがて収縮して「無」に戻るのではないか?そういう宇宙論とは全く異なる。私自身も現代の「ビッグバン論」と「ビッグバン」が起きてから何億年、なんてのは信じてもいないが、そもそも、存在とは何だ?人間の身体や、様々な物質を考えてみると、ミクロな視点では、原子とその回りを回る電子、更に素粒子。それら1つ1つを宇宙と考えると、総体としての何らかの「宇宙体」があり、それを動かす「宇宙意識」が存在するのかもしれない。しかし、意識体に生死があるのか?無い。ならば始まりも終わりもない。ある、と定義すれば、ある。のだろう。そんなものは無い、と定義すれば、判断出来ないんだから、無い、のだろう。我々人間には、意識がある。物質に縛られており、本体が死ぬと意識も消える。消えると定義しているからだ。実際には意識体としてその辺をうろちょろしているのかもしれない。確認出来ないんだから仕方がない。外に放り出された意識体は、ただただ、解放感を喜んでいるかもしれない。解脱。しかし、人の"進化"した姿が、そんな意識体だとして、そんなものに意味があるのだろうか?始まりがあって終わりがある、だからこそ、生きているという実感を得る。ビッグバン以前は?宇宙収縮後どうなるのか?それを知る為に"進化"して、いるのかいないのか、あるのかないのか分からない、いや、単なる定義だけの存在、例えば、e=mc2って哲学が解けた所で意味は無いのかもしれない。が、思考を止めてしまう事も出来ない。さて、次の最終巻で、思考する者の最終形態とは?宇宙は?どういう結末になるのか!?
 
講談社文芸文庫「死霊T」(埴谷 雄高:著)
まず思ったのは、読みにくい、という事。字が読めないんである。自分の国語力の無さを痛感する。なので読むにも時間が掛かってしまった。一応キャラが登場して物語が進行する体裁を取っているが、実の所、これは物語を語る小説ではなく、読者に楽しんでもらおうという類のものとも思えない。著者が自身の考えをまとめたい、その為にキャラを立てて、取りあえず順序立ててまとめるために、物語のようにして時系列を設定しているだけで、キャラ即ち自分の考えをカテゴリ別にしたストックを、それぞれ展開させ、戦わせ、結論まで収束させようとする試み、という感じ。従って物語そのものにさほどの意味もなければ、キャラを一個の人間とイメージするのも無理がある。そういう訳で、想像して物語を楽しむという事が不可能であるがために、当然感情移入も出来ず、面白くも何ともない。一応キャラ達は会話をしているという体裁を取っているが、会話している感じでもない。モノローグのようにひたすら一方的に展開されてゆく。ごくごく普通のオッサンの俺にはちょっと付いていけなった。あと2冊あるが、読む気力が出るかどうか不明である。
自序
一章 癲狂院にて
二章 ≪死の理論≫
三章 屋根裏部屋
 
新潮文庫「五千回の生死」(宮本 輝:著)
短編集です。
「トマトの話」
「眉墨」
「力」
「五千回の生死」
「アルコール兄弟」
「復讐」
「バケツの底」
「紫頭巾」
「昆明・円通寺街」
それぞれの繋がり等はありません。あとがきの「解説」で荒川洋治氏は「子供」をキーにしていますが、子供時代の楽しさ、懐かしさ、大人となってからの、戦い、そして別れ、死。寂しさ、いや、生きている間に何をするか?じたばたもがくのか、それとも、これまで通りに実際の死を迎える直前まで、今までと同じなのか?本のタイトルにもなっている「五千回の生死」では、貧乏な主人公が夜、長距離を歩いて家に帰る際、自転車に乗った男と出会うのだけど、そいつは、生きたいと思ったり、死にたいと思ったり、どっちでもいいって思ったり(これは少ないのだそうだが)、というのを1日に5千回も繰り返すのだそうな。生きて、死んで、生きて、死んで、生きて。結局それが人間の営みなのであろう。人間総体としては1人1人の生死などたわいもない事かもしれないが、やはり人である以上、1人1人にスポットを当てるのが良いだろう。総括の一言で終わってしまう話なんかは、それこそ、お話にならない。1人1人、考えて、思いを馳せて、であるからこそ人間なのだろうと思う。
 
集英社「KLANV 苦闘編」(浅野智哉:著)
まだまだ更に著者の名前よりも「原案/田中芳樹」って文字の方がデカい。今回から著者も変わった。文章は少し淡々としている感じがして、文章に言外の意味が含まれていないという感じで、作品に対する感情投下ってのはこれからだろう。
今回は、まず、美笛と孝行が結婚するって所から始まり、リンフォード伯爵の差し金で、アリョーシャの昔の恋人ルシアが傭兵の長として日本にやってきて、虎ノ介・アリョーシャの前に立ちはだかる、という感じ。またまた風子がさらわれようとするが、いつものパターンである。もっとも、ルシアの方も最初から本気でアリョーシャを倒そうと思っていた訳では無かったようだが、いつものように、リンフォード伯爵様っの陰謀により結局ルシアは殺されてしまう。しかもハムルの弱点を示してしまった後で。ルシアのいなくなった熊の血族は、リンフォード伯爵の管轄下に入り、リンフォード伯爵の勢力は更に強固となる。果たして、虎ノ介達に未来はあるのかぁ!?虎ノ介とルネの小学生のような恋物語は果たして進展するのかぁ!?ルシアを失ったアリョーシャはついにロリに走るのかぁ!?次巻を待て!
 
ファミ通文庫「無責任提督タイラー」B叛逆編(吉岡 平:著)
ナク・ワ・ラング&信濃はラアルゴン帝国へ侵攻、単艦でル・バラバ・ドムの艦隊を蹴散らし、本星へ。まんまとアザリン皇帝陛下を手中にし、復讐・拷問と辱めを与えつつ、今度は惑星連合宇宙軍に対すべく進軍開始。彼の目標は、銀河の王となる事らしい。一方、獄中の身にあったタイラーは仲間達とともに脱出、フジ中将閣下の「六甲・改」を撃破。いよいよ次巻は、ワングとの戦い。本シリーズの最終巻との事だ。
 
富士見ファンタジア文庫「斗姫 To-ki 花の章」(吉岡 平:著)
プロレスファンの体操オリンピック候補選手・蕾が主人公。大好きなプロレスVS空手の異種格闘技戦を観に行って、お気に入りの選手の戦いに、場外乱入で自分から巻き込まれに行って、プロレスや空手のお偉いさんに目を付けられ、体操をやめ、プロレス入門をする。いちおー設定で、この世界は男の居ない女だけの世界で、みんな要するにクローンで、平均寿命は30歳程度、ってのがあるが、最初、何の説明もないので、男風の名前で、男に扮した"疑似男性"を男だと思ってしまい、調子を狂わされた。あと、会話が多すぎる。なので早く読み終わってしまう。故に、この小説に対する思い入れが薄くなる結果となった。男を作る実験をしてるが実験体が逃げてしまって、その捜索を行っている、ってシーンも合わせて、なんか、柴田昌弘氏の漫画を思い出す。こっちは男性だけの社会で、やはり、クローン人間社会で、女性アンドロイドが販売されていて、ってのがあるけど、つい、それを思い出した。しかし、男だけ、女だけ、の世界だと=クローンってノリになるけど、両性具有とか、性別が反転するとか、そういうのってあんまり見掛けない。やはり、人間は魚でわない!みたいなプライド?があるんだろうか?しかし、そういうのを設定すると、=人魚っていうのは余りにもストレート過ぎるが。(笑)
 
ファミ通文庫「神牌演義C 瀬戸内海 血に染めて」(吉岡平:著)
サブタイトルは勿論、機動戦士ガンダムの第28話「大西洋、血に染めて」をパロっていると思われるが、別に水中戦がある訳ではない。瀬戸内海にある無人島でカードバトルのトーナメントが開始される。今回も新キャラは出るけれどストーリーは少し進んだような気がするのでよしとする。が、設定が先行し過ぎて、ストーリーが進行され、キャラの掘り下げがさほど行われず、物語に深みもなく思い入れも発生しない。著者もパワーも分散されているような気がする。
 
講談社「春の魔術」(田中 芳樹著)
「夏の魔術」シリーズ最終話。これも長い間ほったらかしにされていたが、ようやく完結。いつでも再開出来そうな感じではあるが。主人公ってこんなにスレていたっけ?流石に忘れています。小学生のヒロイン・来夢の活躍はほとんど無く、もっぱら、ヒロイン化していたのは元タレント・小田切亜弓。彼女が物語を引っ張る感じで、耕平もいまひとつ目立たない。それでいいのか?最終回!って感じ。盛り上がりもなんかいまいちで、ドキドキ感もワクワク感もなく、さほど面白いとも思わなかった。
 
徳間デュアル文庫「自転地球儀世界U カラトヴァ風雲録」(田中 芳樹著)
トビラの「初文庫化!」という文字で騙された。やっと最新刊が出たのかと勘違いしてしまった。そう、このシリーズは、恒例のごとく、8年前に著者からほったらかしにされてそのまんま、の作品の1つ。最近よくある「復刻版」(そんな昔でもないし最近でもないが)だ。当然、以前のは購入したのだが、8年経つと忘れてしまっていた。最近こういう事が多い。年か? 腹が立つのでそのまま送り返してやろうか?とも考えたが、お金が勿体無いので走り読みをした。そういえば先日2度買いしてしまったガンダム本も徳間書店だったな。田中芳樹氏の本は最近ほとんど新刊が出ていない。「春の魔術」くらいか?人気作家だからという理由だけで復刻させるか?『原案:田中芳樹』『設定:田中芳樹』いろんな人の短編集を集めたものの中にデカデカと『田中芳樹』って書いてたものもあったし(田中氏のものは短い作品だった)、もぉえぇ!という感じ。
 
中央公論新社「聖刻群龍伝 亢龍の刻2」(千葉 暁:著)
デュマシオンはサクヤーと引き離され、帝国から追い出され、龍の王となる事も否定し、すっかりふぬけになってしまう。それを見て、デュマシオンを見限る者が出始め、弟のコラムが台頭してくる。サイオン・トゥール・アウスマルシア伯爵はデュマシオンを徹底的に叩いた挙げ句に亡き者にしてしまおうと策略を開始、周辺同盟国による包囲網を敷く。さぁ、デュマシオンが精神を取り戻すのは一体いつの日か?
 
角川ハルキ文庫「ほしからきたもの A」(笹本祐一:著)
アポロ計画前、異星人が地球にやってきているらしく、それを迎撃しようとする「国連宇宙軍」。宇宙から地球へ何の苦も無く大気圏突入する「敵」に対し、最新鋭の「X-15」で迎撃を行おうとする。主人公のキャラは少し軽くても文調はやや固めにスペックを語るように流れるので少し読みにくく、話にもハマりにくい。「エリアル」程ハチャメチャでもなく真面目な感じ。
 
朝日ソノラマ文庫「二等陸士物語」(吉岡 平:著)
自衛隊隊員が主人の物語なんだけど、全然堅くもな厳しくもなく、単なる、ヲタクな話。吉岡氏のいつものお気軽ノリ。まぁ、つまらないって事はないけれども、さして面白いとも思わなかった。別に苦難を乗り越えて、みたいなのも無く、なんか、ほのぼの的に少しラブコメ調でハッピーエンド、みたいな。
 
角川文庫「総理大臣のえる! サジはなげられた!」(あすか正太:著)
短編集です。軽いです。まぁこういう軽いノリがこの作品の特徴(?)だと思ってますし、余りシリアス過ぎたり、政治批判色が強くなっても、なんか、らしくないので、まぁいいんじゃないかなって感じ。しかしそろそろ健太君を成長させてあげて欲しいかな。パターン化しちゃうとアレなんで〜。
 
角川文庫「総理大臣のえる! 撃破!日本消滅計画」(あすか正太:著)
のえるは前巻で一旦「死んだ」という事になってしまい、前総理大臣に。総理大臣には黒瀬誠一郎が返り咲く。利権欲の塊のような男。黒瀬は日本を、世界一の多国籍企業集団ドルマン・ユニオンに売り飛ばす計画を発動。のえるは黒瀬によって瀬戸内海の小さな島の収容所に送られる。黒瀬は「国民よ痛みに耐えろ」と言い放ち自らは首相の座をキープしようと目論む。さて、どうなるニッポン!? みたいなー
 
角川文庫「総理大臣のえる! 乙女の怒りは最終兵器」(あすか正太:著)
あすか正太さんは昔のパソコン通信の友達ね。主人公・折原のえるは格闘好きの中学生の女の子。悪魔メフィストの魔法で総理大臣になっている。そして彼女の幼なじみ・長谷川健太と一緒にドタバタ活劇をするって物語。前巻までは明るくドタバタほのぼのってノリだったけど、今回はちょっとシリアス。ニューヨークの超高層ビルに飛行機ハイジャック自爆テロ、それに巻き込まれて死亡するのえるの友人、サラ。で、のえるはテロリストのひそむウルムスタンって国へ。で、、、今回はちょっと真面目。ネタがネタだけに、基本的には軽い小説なんだけど、いろいろ考えさせられる、かもしれない。
 
徳間文庫「機動戦士ガンダム ハイ・ストリーマー[3]シャア篇」(富野由悠季:著)
1988年3月刊行された「機動戦士ガンダム・逆襲のシャア[後篇]」を改題したもの、だそうです。サイド1のロンデニオンでシャアは地球連邦政府の高官と会合、アクシズを購入する。ロンデニオン内でアムロと再会、アムロに銃で撃たれてしまう、という瞬間、クェスに助けられた格好となり、クェスを連れ、ロンデニオンを脱出、って所から、最後の、御都合主義的・意味不明なサイコフレームによる光の帯でハッピーエンド。映画館でも見たけれど未だに納得出来ない。まぁ、アムロとシャアがどうなったのかは書かれていないけれど、2人も消滅って事でいいかな。しかしもうちょっと何とかならんのかってエンディングだな。サイコフレームは実はイデの力とかだったりしてな。
 
徳間文庫「機動戦士ガンダム ハイ・ストリーマー[2]クェス篇」(富野由悠季:著)
1988年2月刊行された「機動戦士ガンダム・逆襲のシャア[中篇]」を改題したもの、だそうです。"クェス編"だからと言ってもクェスがこの巻の主人公って訳でもなく[1]の続き。ゼダ・マンディラのMS「ガブール・ベルグソン2」がベースジャバーで出撃したアムロに襲い掛かり、アムロ大ピンチ!って所で前巻は終わった訳だけど、その続きから、ロンデニオンでカムラン登場って所まで。この巻の途中からようやく劇場版「逆襲のシャア」とオーバーラップする。果たして、カムランは気合いを出す事が出来るのか?次巻に期待だ!(嘘)
 
富士見ファンタジア文庫「ギャラクシーエンジェル」@(水野 良:著、原作:ブロッコリー)
同名のPCゲームの原作だそうです。TVアニメにもなっているのでご存じの方は多いと思いますが私はほとんど見てません。今やってるのを最初ちらっと見ただけですぐに見るのを止めたのですが、この小説は、水野良氏の小説って事で、SFファンタジーしてくれるだろうって期待感で買ったんですが、いや、なかなか楽しかったです。余りに軽すぎるノリのSFファンタジーって私は余り好きじゃないんですが、水野調の抑えは効いてますので大丈夫。ただ、やはりキャラ先にありき、なんですが、まぁ、この作品の場合は仕方が無いでしょう。そういう作品だから。
 
ファミ通文庫「無責任提督タイラー」A失墜編(吉岡 平:著)
トオル・ジョーニアス・ヒラガー技術中佐の設計・製造したAI新造戦艦「信濃」は、試験運転にて「相手」から捨て身の突撃されて恐怖し、逃走、惑星連合宇宙軍はこれを追撃、結婚式の途中だったタイラー達一行もその「信濃」追撃戦に加わるが、信濃はラアルゴン帝国の脱出ポッドを回収、それに乗っている人間を救出し、傷の手当てをする。そしてその人間・ナク・ワ・ラング&信濃の逆襲が始まる。 って感じ。
 
徳間文庫「ラーゼフォン 時間調律師」(神林長平:著)
同名のアニメのノベライズ作品。といってもテーマは同じであるけれども内容は全然違います。主人公の名前は、村瀬明。生と死を何百回も何万年も繰り返し、早く消えたいと願う男。最初は30代、次に16歳、と、多少の違いはあるがトータルとしてはほぼ同じ生き死にを繰り返す。記憶は曖昧だが多少は残る。セーブが出来ないRPGを何度もリプレイする感じ。友人のヒロコとマモルに会おうとする。そして自分の部屋のパソコンを触り、パスワードに難儀しつつも、パラレルワールドの《自分》とチャットをして情報を得ようとする。そんな感じでスタートするこの作品。アニメを見た後に読むと「何じゃこりゃあ」である。この著者の作品は初めて読むが、最初はどうも分かりにくい文章だなと思った。短文が多い。文が飛ぶ感じがして、同時に、意味が飛んでいる感じがして読みにくかった。慣れたけど。(^^;) でも文章で読者を引っ張る感はあって、別にやらしさも濃さもなくて、それは良いなと思う。キャラやメカのビジュアライズによって小説を盛り上げようって作品の多い昨今、文章で勝負しようとするSF作品はもっとあって良いと思う。
 
徳間文庫「機動戦士ガンダム ハイ・ストリーマー[1]アムロ篇」(富野由悠季:著)
1987年12月刊行された「機動戦士ガンダム・逆襲のシャア[前篇]」を改題したもの、だそうです。いきなり、アムロが出てMSが出て、シャアも出て、ニュータイプの話をして、と、「ガンダム」パーツを出しまくる当たりは流石に狙っているって感じ。カニンガムって名前、何か聞いた覚えがあるな。もしかしたら、一度読んでいるのかな? 取りあえずは「逆襲のシャア」の2年程前の話って感じ。「逆襲のシャア」は、徳間版小説と角川版小説の全く異なる2種類があって、私は角川版の方が好きなんだけど、映画はスポンサーが徳間なので、ほとんど徳間版の方に近かったように思うんだけど、そかー。って事はこれ、1度読んでいるのかな?(笑) しかし何で「今更」なのだろう?よく分からない。最近ガンダム関連の本とか出ているんで、それにあやかろうとしているんかいな?ってことは、しっかり、引っ掛かってしまった!?(爆)
 
講談社文庫「機動戦士ガンダム外伝 THE BLUE DESTINY」(皆川ゆか:著)
以前セガ・サターン用ゲームとして世に出た同名のゲームソフトのノベライズ。特殊部隊のテストパイロットである主人公ユウ・カジマ少尉が「対ニュータイプ・システム」としてジオンで研究される「EXAM」を絡めてジオンの兵と闘うってもので、時代背景としては、1年戦争のオデッサ作戦前後ってのが中心。ガンダムものにありがちな「MS中心主義」みたいなものは、この小説には無い。1兵士の視点から、戦争を見てる、MSは単なる兵器ってゆーだけ。人間中心なので割とすんなり物語に入れる。これがなかなか面白いのだ。脇役との絡みとか結構面白い。最後に気付いたんだが、挿絵が無いのだな。でも全然気にならなかった。文章で読ませてくれるのだ。尤も、先にゲームをやってるから、こんなキャラだっけなーってのはある。が、そんなの関係無しに、読める。先入観も無い。よくある「アニメ強制的先入観刷り込み」が無い。純粋に想像して楽しめる。なかなか良かった。
 
新潮文庫「優駿」(宮本 輝:著)
北海道・静内にあるトカイファームは、渡海千造・博正親子のやりくりする小さな牧場だ。そこの牝馬・ハナカゲに、高額な種付料を支払ってアメリカからのウラジミールを掛け、それが何とかうまくいき、生まれた子馬に"クロ"という名前をつけ育てる。その"クロ"が競走馬となりダービー馬までたどりつくまでの、"クロ"をめぐる人人の物語。競馬で勝った負けた得した損した、という単純な話ではなく(無論それもあるんだけど)、生産者である渡海親子、馬主となる和具父娘、いろんな厩舎の話、調教師の話、ジョッキーの話、和具の経営する会社の話、和具の秘書・多田の話、和具が不倫して生ませ腎臓病で苦しむ息子・誠の話、そして、人の死、等々、ストーリーは多岐に渡り、展開、ラストは一応ハッピーエンド。とても楽しませてくれた。良かったです。この作品は、吉川英治文学賞受賞だそうです。
 
新潮文庫「夢見通りの人々」(宮本 輝:著)
ミナミのとある商店街「夢見通り」に住む人々の話。現実と向き合いながら夢を持って生きていく、という内容で、10の話から構成される。一応の主人公は、「蒼い島」(鳥でわない(笑))という詩の同人誌に、周りから「小学生並み」と評価されつつも自分風の詩をつむぎ、将来は自費出版で詩集を作りたいと願う1教材セールスマン・里見春太30歳。どこからどう見ても、平凡でお人好しな彼が、ベタベタな大阪の商店街の中で、濃い大阪人な他のキャラ達と、生活している。ちょっとした"事件"(あそこの息子がどーのこーのってレベル)を絡ませながら、いかにも大阪らしいといえばらしいのぉ〜って、ほのぼの感をしのばせている。
 
集英社「KLANW 野望編」(霜越かほる:著)
未だに著者の名前よりも「原案/田中芳樹」って文字の方がデカい。おそらく田中氏の名前の方が売れると思っているのだろうが、そういうセコい事は、もういい加減にしてもらいたい。
「第1章 1945・インド」
後への伏線なのだろうが、1つの章にする程1度に長く書く必要があるのだろうか。インドで人食いライオンを日本兵・植野賢三陸軍大尉が退治する話なのだが。
第2章からは第3巻の続きで、リンフォード伯爵に妹・風子を取り戻すため、日高虎ノ介は仲間であるルネ、アリョーシャとともにロシア経由でインドに向かう。何故か関わってしまった動物学者の立花美笛と虎ノ介の叔父・日高孝行は、別ルートでインドへ直接向かう。一行は、風子を無事助ける事が出来るか?
 
ファミ通文庫「無責任提督タイラー」@華燭編(吉岡 平:著)
主人公・ジャスティ・ウエキ・タイラー(「ウエキ」ってのは勿論、植木等氏の事で、最初のタイラーは彼がモデルであったが、この小説ではその片鱗もないので、この「ウエキ」ってミドルネームは外した方がいいと思う)がユリコ・スターと結婚するシーンと、ヒラガーが戦艦「信濃」をお披露目するってシーン、がこの巻のメイン。しかしイラストを見ても、誰が誰で、誰が誰か、ってのがさっぱり分からんなぁ。ストーリー的には今回さほどの無理はないと思うけれど、やっぱり、ヒラガーが単なる2ちゃんねらーみたいな感じがして少し嫌気がさした。私は自他共に認める「2ちゃんねる嫌い」だが、まぁ、ヒラガーというキャラは元々そんなに嫌いじゃなかったが、リニューアル後の新シリーズでは、嫌いになりそうだ。しかしリニューアルして良くなった所が1つだけある。それは、戦艦等のイラストが凄く良いのだ。(^_^)
 
朝日ソノラマ「ダダダダイヤルy計画 ヤプーズ トリビュート短編集」(吉岡 平:著)
戸川純さんがヴォーカルの"ヤプーズ"の音楽をベース?ヒント?にしたショート・ストーリーズ。この音楽を知っていると読後感も違うのかもしれないが、私は知らない。(^^;)
・大天使のように
・Men's JUNAN
・君の代
・ロリータ108号
・宇宙士官候補生
・コンドルが飛んでくる
・ヒステリヤ
・赤い戦車
・12階の一番奥
・Fool Girl
・赤い花の満開の下
・Daddy the Heaven
・ヒト科
・セシルカット
・テーマ(あとがき)
基本は、SF、ファンタジー、おちゃらけ。でもま、今まで読んできた吉岡ワールドとは少し違った感触の作品もあるので、なかなか面白かったです。先が読めるものも多かったけど。(笑)
 
宝島社『ガンダム「一年戦争」』(円道 祥之:著)
小説ではなく、解説本?「〜の秘密」本? ガンダムの俺的語り話でもやってくれるのかと思ったら、ガンダムをちょいネタにした戦争の歴史のウンチクを語る本だった。そのウンチク部分は余り面白く無いので斜め読み。アニメは見たってのは分かるけれども、ガンダムについての資料も余り読んで無さそう。「ガンダム」はあくまでもロボットアニメのお話であって、戦争漫画でもSF漫画でもない。富野監督も映像作家なのであって、戦争やSFを追求してる訳ではない。細かい部分等はかなりアバウトだ。まぁガンダムを批判してる訳ではなく、戦争について語っているだけなのでいいんだけど、ん?それはちと違うんでないの?って箇所は結構ある。1つずつ書いて行きたい気もするがまぁそれはいいとして、どうも、1本のストーリーが通っていると良かったのだが、複数の単発話の集合体って感じなので、読み応えが無い。更に、ガンダム本のつもりで買ったのに、そうじゃなかったし、少ないガンダム話の部分もアニメを見たまんまなので、あっそう、それで?って感じ。要するに、戦争話をしたくて、本を売りたくて、「ガンダム」の名前を利用しただけって感じ。面白いか面白くないかと問われれば間髪入れずに言える。つまらんぞ!と。
 
新潮文庫「ドナウの旅人(上)(下)」(宮本 輝:著)
主人公・日野麻沙子のもとに、母親・絹子からの手紙が届く。「きょう、フランクフルトに着きました」という言葉から始まり、唐突に、父親・修三との離婚をほのめかし、ドナウ河に沿って旅してみたい、という内容だった。友達と北海道を旅行するとか言ってそのまま海外に行った母親を、麻沙子は連れ戻す為に追い掛けようとする。麻沙子は西ドイツで5年間働いており海外旅行には慣れている。以前世話になった八木夫妻、友人のペーター、そして別れた恋人シギィと再会するが、絹子が若い男・長瀬道雄と一緒である事にショックを受ける。そしてレーゲンスブルクでようやく絹子をつかまえるが、そのまま、絹子・道雄、麻沙子・シギィの奇妙な4人組のドナウの旅が始まる。最終地は黒海に流れていく所まで。何故、絹子と道雄が一緒に旅をしているのか、道雄が旅をする理由、麻沙子とシギィのラブストーリー、サスペンス有り、ワクワクドキドキあり、と、いろんな話が一杯詰まった面白い小説でした。また、これを読んだ後は是非、文春文庫「異国の窓から」も読んで欲しいと思います。
 
新潮文庫「錦繍」(宮本 輝:著)
ある事件が元で別れた夫婦が、10年後に偶然出会い、手紙のやり取りをする。本編は全て、書簡体で語られる。過去、別れた経緯、近況、そしてこれからもお互い別々の場所・世界で、一生懸命生きていく、という姿が、一種、淡々と綴られる訳だが、会話でも電話でもない、手紙という一見一方通行的でありながらもお互いの事を想像し、相手の立場に立ち、お互い尊重していこうという姿、そして、行間がしみ出てくる思い、っつーか、愛情、とまでは言わないけれども、親しみっつーか、現在のインターネット&メールでは会話を余りにも簡単にしようという意識があるために文章表現力なんかはほとんど皆無ってのが多いんだが、結構考えさせられる作品だった。微笑ましくて、泣ける。この小説のラストは、エンディングではない。これからが始まりなのだ、つーノリ。しかし何となく応援したくなるような感じがするではないか。いやぁ、なかなか楽しかったです。
 
新潮文庫「幻の光」(宮本 輝:著)
短編集です。
・幻の光
・夜桜
・こうもり
・寝台車
解説ページで大河内昭爾氏はその冒頭に、
 「画面は全体的に暗色なのに、表面というより底の方から、どこからともなく一種の明りがうかびあがってくるような絵にぶつかることがある。表題作「幻の光」の読後感は、幻の光という題名そのものの暗示かもしれないが、そんな絵にも似た印象だった。」
と記していますが、男に女、浮気に離婚、どろどろとした暗いイメージを宮本輝という作家は、結構アッサリと綺麗に書くが、しっかりと、どろどろイメージが残る。文章の裏側から感じさせてくれる訳だが、この短編集は、どろどろの後に希望の光があるとにおわせてくれる訳だが、その光の明るさは、私にはちと弱い感じがした。これも、実際に私の家庭事情もどろどろしていたせいであろう。実感出来るのだが、実感がありすぎて、私には当時、希望の光なんてものは存在しなかったという事を思い出してしまうのである。暗黒の時代。私は小学5年から高校2年まで小児喘息持ちだったし、いじめにもあっていたので、ほとんど非行なりかけ状態だった訳だけど(笑)、どーも、当時の自分とオーバーラップさせてしまおうとしてそれに失敗し、あぁ、俺に光が差すまで約6年も掛かったのだなと思い起こす訳で、余り昔の事も思い出したくない訳で。だからちょっと、何か少し違う、って感じも受けてました。
 
文春文庫「胸の香り」(宮本 輝:著)
短編集です。
・月に浮かぶ
・舟を焼く
・さざなみ
・胸の香り
・しぐれ屋の歴史
・深海魚を釣る
・道に舞う
あとがきには、短編集を書く事についての思い入れが書かれています。この短編集は、楽しいとか悲しいとか、そういうんじゃなくて、胸に多少なりともチクチクしてくるような響きを感じる。いや、これら物語のような経験は私には無いから私にとって、痛みという訳ではない。繊細で、何か書くとイメージが変質しそうな感じもするので敢えて何も書かないけれど、多少しんみりとした読後感が残っている。
 
文春文庫「彗星物語」(宮本 輝:著)
城田家にハンガリーからの留学生がやってくる。お爺さんの福造、息子の晋太郎に妻・敦子、その4人の子供、幸一・真由美・紀代美・恭太、離婚して実家に帰ってきた晋太郎の妹・めぐみとその子供、春雄・夏雄・秋雄・美紀、ハンガリーから来たポラーニ・ボラージュ、そして、自分を犬と思っていない愛犬フック。この13人と1匹の、家族物語。晋太郎は、ハンガリーで会った、日本で勉強したいという青年をどうにかこうにか神戸大学に受け入れてもらえる事になった。そして、彼との言葉の問題や文化的な問題、必ず最初は掛かるホームシック。真由美・紀代美の恋愛・結婚の話に、まゆみの離婚に元ダンナとその子供のからみ、等と、よくあるいろんな話が次から次へと(^^;;)。そして、事あるごとに出てくるフックの活躍。(^^;;) 恭太の成長。ラストは当然、ボラージュが帰国するって所になるんだけど、いやぁ、泣けます。
 
電撃文庫「スターシップ・オペレーターズB」(水野良:著)
「ロードス島戦記」でおなじみの水野良氏によるスペース・オペラです。イラストはギャルゲー風ですが、中身はなかなかハードな?SFです。
自由護衛艦アマテラスは、フェニキア星系からヘンリエッタ星系へと向かい、小型貨物船による補給を行うが、物資が足らず、近くの惑星国家"シュウ"へ寄港する。そして彼女らのファンの多い"シュウ"で、ファースト・コンサートを行う事になるシノン・アレイ・ミユリの3人。そしてヘンリエッタ星域惑星国家同盟(王国≪キングダム≫)は惑星国家シュウに対し、宣戦布告を行い、シュウではクーデターが勃発。さぁどうなる?!
☆ちょっと背景がややこしい?んで、1巻から読むのをオススメします!
 
スターシップ・オペレーターズ オフィシャルサイト
http://www.starshipoperators.com/
 
ファミ通文庫「神牌演義B 震撼! さいたま副都心」(吉岡平:著)
カードバトルはどんどん拡大、戦いの場は埼玉へ。温泉で身体を休める主人公達。そして次の戦いへ。それに勝利してから次からトーナメント・カード・バトルだそうな。作者自身「ジャンプ」化してるとか言ってるけれど、まぁ私は「遊戯王」なんて興味無いし第一、最近、人気落ちたでしょ。一昨年くらいならまだしも。だから時事ネタとしても、遅すぎです、そのパロディ。最初はちょっとは期待した作品なんだけど、2巻、3巻、と全然面白くなくなってきている。なのに最後のあとがきみたいので自画自賛しているから、ガクッ度 高すぎ。キャラも多すぎるし、その分、キャラへの書き込み度や思い入れ度も薄くなる。ストーリーも今のところは「ドタバタ」って感じしかないので、面白く無い。結局、「こういう中国武将キャラを出したい」とか、そういうのに振り回されているって感じ。
 
文春文庫「異国の窓から」(宮本 輝:著)
1982年に著者が「ドナウの旅人」という新聞の連載小説のための取材旅行の紀行文。ドナウ河に沿って、西ドイツ→オーストリア→ハンガリー→ユーゴスラビア→ブルガリア→ルーマニアをたった20日足らずで渡り、その道程の様々な出来事や思い等が語られる。宮本氏の例の病気との闘いや、同行した朝日新聞記者とのやり取り、現地の人達とのいろんな会話ややり取りが、とても面白い。宮本氏はこの旅で、ハンガリーで知り合った青年を、会ったばかりというのに、日本に勉強しに来たいという熱意と瞳を見て、日本に呼ぶ事を決心するが、この辺のくだりも、他のエッセイとかで良く出てきてたし、「葡萄と郷愁」で出てくるハンガリーの話の件もあって、ちょっと興味深い。
 
文春文庫「メイン・テーマ」(宮本 輝:著)
対談集です。1985年辺りの頃です。なかなか笑えます。(^^)
林真理子 コピーライターが小説を書く時
小栗康平
映像の風土 文学の風土
マルセ太郎
出世しない男の四つのセリフ
杉浦日向子
褌をしめてる男性が好き
おすぎ
人間、このミステリアスなもの
野田知佑
滅びる川をカヌーに乗って
黒井千次
日本の「一人っ子」は中国で何をしたか
半田真理子
「課長」と「家長」のウィーン物語
西川きよし
お母ちゃんの仇をとるんや!
小林伸明
ビリヤードと文学と
高野悦子
「鉄の女」と「紙の男」
宮尾登美子
世の不安神経症患者へ
 
朝日ソノラマ「エリアルQ」(笹本祐一:著)
前回・前々回と同じく、帝国第3艦隊オープン・フリートの話の続き。はっきり言って、時間掛け過ぎ。読んでいる途中、まぁ疲れていたのもあったんだけど、結構眠かった。(笑) しかしセイバー様も出てこないし、戦闘シーンもなく(最後に模擬戦はあるけど)、エリアルも慣熟飛行と偵察飛行をするだけ。会話ばっかしって感じ。ハウザー父・息子と岸田博士のやり取りがメイン。従って、そんなにノリ的でもなく会話的に面白い訳でも無く、SF的設定なネタとかでも盛り上がりに欠ける。ハチャメチャもドタバタもなく、今回は、ストーリー展開での「つなぎ」みたいな感じだったので、眠気は倍増した。
 
ファミ通文庫「神牌演義A お台場は燃えているか」(吉岡平:著)
前作を読んでから結構日時が経過しているのですっかり忘れている。登場人物の名前は幕末〜明治の有名人からとってて、「神牌」というカードを持ち、三国志に出てくるキャラのような武将を召喚し、バトルをする、という最近ありがちな設定に、ドタバタ感とノリ、いつものヲタク的会話等、いつもの吉岡平調でイケイケなストーリー。今回は、お台場周辺でバトルが行われ、片っ端から壊していきつつ、いろんなキャラの登場編である。キャラはまだ半分位しか出てないようだが、もうちっと絞って、ストーリー重視でやってほしい。キャラの特性/色が見えて来ない。これを読む前に、「三国志」の知識がないと辛いかもしれないし、アニメな話も知らないとついて行けないと思う。コアな読者を惹きつける、のかもしれないが、それが、読者を選んでしまっている感じが強い。アニメ/特撮/声優のパロディな文章・台詞を無くして、独自の物語だけで勝負してもらいたい。
 
中央公論社「葛飾物語」(半村 良:著)
戦中・戦後から昭和の終わりまでの、東京・葛飾を故郷とする庶民な主人公達の生活・そして時代とともに葛飾から離れ、1人そしてまた1人と死んでゆく、しかし時代は流れてゆく、という何だか切なくなってくる物語である。おそらく、故・半村良氏の小説を読むのはこれでラストだと思うが、「死」がラストというのも、さもありなん、である。それとも、未完の「太陽」を手にする日は、いつか来るのであろうか? そして、現代では、超タカ派な小泉首相が有事法制法を通そうと頑張っている。小泉首相も疎開してたそーだがそんな事は忘れてしまったのだろう。我々一般大衆は、この小説の主人公達が、戦争に遭遇し、集団疎開、赤紙を受け取って戦地へ赴き、ほとんどが戦死、生き残った者は復員して、戦争の「痛み」を受ける、しかしその後しぶとくしたたかに生きてゆく、ちゅー事を繰り返さないよう祈るのみである。
 
朝日ソノラマ「セコポリ2−釜山コネクション−」(吉岡平:著)
前作「セコポリ」が入手不可能...なのでキャラや雰囲気が全く分からない状態で、作品が前作を知ってるって前提で書かれている風なので最初はよく分からなかった(一応あらすじはあるんだけど)。内容は、軽い。凄く軽い。セコポリ=SECOND POLICE:第二警察 警察ネタだったら少し堅いのかと思いきや、どうも、「セコいポリス」と聞こえてならないような軽さ。まぁ著者の吉岡氏の作品は軽いモノが多いのでそれは仕方がない。しかしこれで映像があったら、まるで、軽い観光旅行案内アニメである。
 
集英社「KLANV 迷走編」(霜越かほる:著)
何故か著者の名前よりも「原案/田中芳樹」って文字の方がデカい。おそらく田中氏の名前の方が売れると思っているのだろうが、そういうセコい事は、しないでもらいたいものだ。
テレパシー能力を持ち、動物に変身して凄いパワーを出す、その能力を「ハムル」と呼び、そのハムルを持つ者を「ハムランムル」と呼ぶ。主人公は、日高虎ノ助という名前の高校生男子。実はそのハムルを潜在的に持ってて〜それをコントロール出来なくて〜その能力を欲する悪人がいて〜経験値を上げて仲間を集めて敵の魔手をくぐり抜け、敵ボスキャラをやっつけましょうという、まぁ、よくありそうな物語。なお、挿絵はいのまたむつみさまっなのでそっちは満足。(笑) 本自体は少し薄めで読み終わるのも速かった。まぁ、アニメを読んでる感じかな。この辺は田中芳樹の小説も同じなのでまぁいいとして、まぁ、描写力が文字そのまんまなので、もっと頑張って欲しいです。
 
中央公論新社「聖刻群龍伝 亢龍の刻1」(千葉 暁:著)
主人公・デュマシオン・イスカ・コーバック達は、辺境の蛮国・バルーザとの戦いに勝利し、帝国の首都へと凱旋する所から始まります。デュマシオンは亡き皇帝より征夷大将軍の任を与えられ、侯爵位を与えられ、皇帝亡き後の新皇帝はまだ幼い子供であり、姉であるサクヤー皇女と”良い仲”となり、デュマシオン親政権になるのは誰の目にも明らかとなった。しかしそれ以上に、デュマシオンは戦いに疲れ、戦時の味方の死に直面し、己の"龍の王"という血から逃れたかった。そして、サクヤーと共に現実逃避状態になる。そして、友であり頼れる同胞であったサイオン・トゥール・アウスマルシア伯爵は、デュマシオンに対して妬みを持つようになり、プライドを傷つけられ、ついに怨みの対象としてしまい、デュマシオンを排除するための行動を開始する。サイオンにも「龍の器」があるのだった。何かが欠けていたため、古代の力は得ていないが、それにも増して、俗世の力も欲も持ち合わせており、デュマシオンがサクヤーと引き籠もり状態になっている間に、帝国の組織改革を進めていく。腐った帝国を立ち直らせるためには、思いきった改革をせねばならない。名目上、デュマシオンの名を前面に出して、その強硬政治に批判が出始めるようになり、デュマシオンへの反感が積もってゆく。そして……
という訳で今回はほとんど装兵戦はありませんが、政治的なやり取り・戦いで楽しませてくれています。さぁ、デュマシオンはこれからどうする!?サクヤーとの関係は!?次巻が楽しみ。
 
ファミ通文庫「真・無責任艦長タイラー」E凱旋編(吉岡 平:著)
富士見ファンタジア文庫で昔書かれた小説「無責任艦長タイラー」のリライト版。だが旧作@外伝@が今回@〜Eにまで膨れあがったのを作者は「(旧作は)描写が薄っぺらだとあっちこっちで批判されたのは、こういうことだったのね」と書かれてありますが、読んでみると、別にそうでもない。現実に、以前のは1冊読むのに1週間位掛かっていたと思いますが、最近のは2〜3日で読み終わってしまいます。つまり密度が半分になっている。という事はどういう事かというと、@会話が多いAイラストが増えたBノリで書いているC出場キャラが増えている、という訳で私は逆に今の方が、読み応えを感じられない。次に、キャラのイラストが違和感バリバリ。次に、物語の基本は以前と同じ(はず)だから先を読みたいという楽しみが半減。で、先を踏まえた上でのキャラ出演をさせている感じなので、うーん、なんかつまらん。伏線になってへんっつーの。第一、今回ののっけに出てくるカヤマ&ノリコなんて、次シリーズの話じゃん。今出す必要があるの?ページ稼ぎにしか見えん。フジ・ススムの台詞「あいつの一番大事なものを、俺が奪うとか……」なんてのは、はいはい、もうわかったから、逝って良し!みたいな。。。
なお、次回からは「無責任提督タイラー」と新シリーズとしてリスタートするそうです。
 
文春文庫「本をつんだ小舟」(宮本 輝:著)
作者の小説家となる根底を育んだ中学生から高校生の頃に読んだ小説等についての様々な思い出やその頃の状況等を、作品紹介と共に綴っていくエッセイ。
1.ジョセフ・コンラッド「青春」
2.上林暁「野」
3.フロベール「トロワ・コント」
4.ボードレール「悪の華」
5.山本周五郎「青べか物語」
6.ファーブル「昆虫記」
7.「寺山修司詩集」
8.宇野千代「おはん」
9.水上勉「飢餓海峡」
10.チェーホフ「恋について」
11.カミュ「異邦人」
12.井上靖「あすなろ物語」
13.ドストエフスキー「貧しき人々」
14.柳田國男「山の人生」
15.老舎「茶館」
16.泉鏡花「高野聖」
17.ドルトン・トランボ「ジョニーは戦場へ行った」
18.中野重治「雨の降る品川駅」
19.フォースター「インドへの道」
20.永井龍男「蜜柑」
21.ツルゲーネフ「はつ恋」
22.「山頭火句集」
23.メリメ「マテオ・ファルコネ」
24.深沢七郎「楢山節考」(字がないので代用)
25.ゴーゴリ「外套」
26.三好達治「測量船」
27.樋口一葉「にごりえ」
28.北杜夫「どくとるマンボウ航海記」
29.ラディゲ「肉体の悪魔」
30.サマセット・モーム「雨」
31.大岡昇平「野火」
32.島崎藤村「夜明け前」
数が多いので短編集っぽいですが、結構興味深く読んでいきました。読むのも少し時間が掛かりましたが楽しかったです。
 
平成14年3月5日(火)の朝日新聞朝刊より抜粋。
「戦国自衛隊」「妖星伝」半村良さん死去
 SFをはじめ伝奇ロマンや下町の人情物語など幅広いジャンルで活躍した作家の半村良(はんむら・りょう、本名清野平太郎=きよの・へいたろう)さんが4日、肺炎で亡くなった。68歳だった。
(中略)
 東京生まれ。工員や板前見習、バーテンダーなどさまざまな職業を転々とした。62年、SFマガジン・コンテストに入選して作家に。「産霊山秘録」(73年、泉鏡花賞)をはじめ、「雨やどり」(75年、直木賞)、「岬一郎の抵抗」(88年、日本SF大賞)、「かかし長屋」(93年、柴田錬三郎賞)などの代表作がある。また「戦国自衛隊」は79年に映画化され、話題になった。長編作家としても知られ、伝奇小説「妖星伝」は75年の第1巻刊行以来、18年かけて7巻を完結した。ムー大陸の歴史を描く「太陽の世界」も80巻の予定で執筆していたが、18巻で中断していた。
 
文春文庫「葡萄と郷愁」(宮本 輝:著)
主人公は、東京に住む沢木純子と、ハンガリー・ブダペストに住むホルヴァード・アーギ(ハンガリーは、日本と同様、姓・名の順なのだそうだ)の2人で、2つのストーリーがパラレルに進行していき、最後までクロスする事はない。純子は一応恋人と呼べる男性はいるにも関わらず愛してもいない将来外交官な男性と結婚する事、アーギはアメリカの裕福そうな婦人から養子の話が来ている事、で悩む姿を描いている。いろんな人との交流を通じて、自分の判断は正しいのか否か、本当にそれが幸せなのか否か、果たして幸せとは何なのか。結局、純子は打算的に外交官夫人になる事を選び、アーギは感情的に自国に残る事を選ぶ。結論としては、やっぱお国柄?そのまんまやんけ!って事になるかもしれないが、その途中経過がなかなか面白い。脇役陣がいい味出してるって感じ。(笑) 葡萄=ワイン=酒、って事で、お酒が結論へと導くキーワードになっているようです。純子は父親と酒を飲んで別れの酒とし、アーギは友達らと超年代物のワインを飲んで自国・仲間達との郷愁を感じる。。。なお、この小説は、女性向け雑誌「JJ」に連載されていたのだそうです。
 
文春文庫「真夏の犬」(宮本 輝:著)
短編集です。
 1.真夏の犬
 2.暑い道
 3.駅
 4.ホット・コーラ
 5.階段
 6.力道山の弟
 7.チョコレートを盗め
 8.赤ん坊はいつ来るか
 9.香炉
 
氏はあとがきで以下のように記しています。
 −建物と、それを建てるために組んだ足場との関係を比喩に使ってみたのです。つまり、組んだ足場だけを見せて、その中にどんな建物が隠されているのかを、読者のそれぞれの心によって透視させるのが短編小説であり、足場をすべて取り払って、構築された建造物の外観を披露し、内部がいかなる間取りなのかを考えさせるのが長編小説ではないのか、と。

なるほど、短編小説のラストがいつも、明確というよりは、少しぼかして、この先、どんな感じになるのだろう?と読者に想像をさせてくれるものが多いのは、そういう風に作っているんだな、なかなかエンターテイメント豊かで良いなぁ、という感じ。
アニメでは短編なオムニバス形式のものも増えているけれど、なんか、ストーリー構築能力が無いからとちゃうか?って思わせてくれる物が多いです。小説でも、なんか消化不良に陥るパターンも結構あるのですが、この宮本氏の小説では、あまりそんな感じにはならないので、良いです。
 
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